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■ ぐるぐる考
もし私が美容院か理髪店を開くとしたら、内装も外装も白っぽくてそっけないくらいにする。 店先には、銀の金具のついた、ヒューズのように小さな赤と青と白のぐるぐるが回っていたらいいと思う。蛍光灯のように冷たい白の光を放ちながら。
などと考えるようになったのは、Kが、それはそれはぐるぐるを好きだからだ。 「ぐるぐる」とは理髪店の、あるいは美容院の店先にある、ぐるぐる回るサインを指す(拙宅では)。 赤や青という目立つ色のストライプ(でない場合もあるが)回っている様子がKの目を釘付けにしてしまうのだろう。赤ちゃんの頃から、そばを通ると振り返っていつまでも見ているほどに好きだった。スリングの中から。 いま、
「ぐるぐる みてくるの」 「ぐるぐる まわってるかなー どうかなー」 「ぐるぐる おやすみしてたね ねんね」
といった文章は、Kから最も発せられる類のそれである。 しばしば通る道すがらのぐるぐるは把握され、知らない街のぐるぐるはすかさず発見される。大人よりも素早く。そして回るぐるぐるには、「たっち」(タッチ)せずにはいられない。回るサインに手のひらをくっつけて、飽きることがない。
そんなKの朝。 「おとうさんとぐるぐるまわってないのみてきたの」 お父さんと、ぐるぐるが回っていないの(回っていない=止まっている「ぐるぐる」)を見てきたの。
つい、
おとうさんとまわってないぐるぐるみてきた
としたくなるが、印象は違う。こんなにこなれてはいない。 被修飾語が先。
2008年10月04日(土)
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