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みんみん



 12月

寒いので長いコートを出して着たりする。
でもこのへんでは皆薄着なので(冬は)、ひとりだけ厚着している人のようになって、少し浮くのだ。

りー氏の会社は秋に移転していたのだが、移転先に初めて行った。中に入ったわけではないが、ビルの下をうろうろしていた。
オシャレ系(たぶん)美容室だの高級オシャレ系家具屋だのギャラリーだのがテナントの、なかなかすかしていやがるビルだった。



▼小林キユウ『Route88 四国遍路青春巡礼』(河出書房新社、2003)

図書館の棚の、なんともいい具合の場所にあったので借りてみた。小林キユウって小林紀晴の双子の兄だったんだ(というほど読んではいない)。
こないだの日曜日の朝、NHKの「ようこそ先輩」で先生役として出ていた。最初に「写真ってなんなのかみんなそれぞれ考えてほしい」というようなことを提示していて、そんなコンセプチュアルな、と、「先生」の雰囲気とも相俟ってちょっとハラハラドキドキしてしまったのだが、生徒たちの撮った写真に助けられていた(ように見えた)。

ちなみに先週の「ようこそ先輩」は歌う生物学者・本川達雄氏が登場。
金沢出張の日にホテルで観たが、前夜、「明日はゆっくり出てきていいよ」と言われていたのを理由に、しっかり見てから出動してしまった。15分ほど意図的に遅刻。面白かった。生物への尊敬の念、を歌にするというのがいい。

▼藤原新也『なにも願わない手を合わせる』(東京書籍、2003)

例えば同じ年代の人たちに比べたとき、私は、手を合わせる方なのかも知れない。もうこの世の人ではない誰かに対するてねぎらいの気持(と、仮に言う)や、いろいろな物事に対する謝意がないわけではないけれども、やはり結局のところ*なにかを願う手を合わせ*ているのだろう。それはそれで幸せで能天気なことだとも言える(私が特定の信仰を持っていればまた別の思いがあるようにも思う)。


以上2冊は、たまたまどちらも文章+写真の体裁を取っていて(藤原の本には「写文集」とあった)、なおかつどちらもお遍路さんについて書かれている(小林キユウの方は1冊を通して)。
四国には行ったことがない。友達が住んでいるので行くとすればたぶんものすごく軽い気持で行きそうな気がする。そして物見遊山として霊場を廻ったりもするだろう。
昔、私も四国を廻ってみようかと思ったことがある。が、思っただけで結局廻ってはいない。


▼田邊園子『伝説の編集者 坂本一亀とその時代』(作品社、2003)

かつて河出書房「文藝」の名物編集者として知られた(もちろんリアルタイムでは知るべくもない)坂本一亀の軌跡は、そのまま日本の戦後文学史でもある。感想に替えて目次にならぶ作家(評論家)の名を挙げておこう−−野間宏・椎名麟三・三島由紀夫・中村真一郎・埴谷雄高・武田泰淳・梅崎春生・船山馨・水上勉・小田実・高橋和己・真継伸彦・山崎正和・井上光晴・黒井千次・丸谷才一・平野謙・いいだもも・辻邦生・島尾敏雄。
ちなみに坂本一亀は坂本龍一の父。表紙には坂本一亀の写真が用いられているが、どこか坂本龍一に似た面影がある。ただし息子より父の方がもっとシャープ。

2003年12月03日(水)
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