酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2007年10月09日(火) |
『模倣犯』 宮部みゆき |
塚田真一は家族を殺された原因が自分にあると苦しんでいる。早朝、犬の散歩に出かけて犬の嗅覚がトンデモナイものを嗅ぎつけてしまった。女性の手・・・だ。望まない騒動に巻き込まれてしまう真一。前代未聞の連続殺人事件の果てに真一が見出すものとは・・・!?
『模倣犯』に登場したジャーナリスト前畑滋子が新刊に登場しているらしく気になりつつ、再読してみた。6年前に読んだ時には激しく興奮していた記憶がある。今回は気持ちを抑えて物語を俯瞰するように読んでみた。それが良かったらしく、大勢の登場人物をそれぞれにキチンと読めた気がする。これが10年以上前に書かれたものなのだからアラタメテ恐れ入った・・・。事件を起こす犯人の異常性や残虐性が被害者と被害者の家族を苦しめる。話題は一過性のものでも残された被害者の家族の苦しみは終らない。それでも生きていかねばらなない。その重苦しさにものすごく考えさせられた。前も今回も被害者の家族である有馬のじっちゃんの人間の奥深さには魅了されまくった。あんな重厚な人間になりたいものだと。有馬のじっちゃんと真ちゃんの交流は心温まった。泣けるくらいに。
「本当のことは、どんなに遠くへ捨てられても、いつかは必ず帰り道を見つけて帰ってくるものだから。だからいいよ。俺は俺でーこれからの自分のこと、考えるから」
『模倣犯』 2001.4.20. 宮部みゆき 小学館
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