酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2007年04月01日(日) 『誓いの夏から』 永瀬隼介

 十川慧一は剣道の出稽古で警察の鷲見から1本を取りたくてたまらなかった。それはアイスドールと呼ばれる美少女・広田杏子から言われた言葉に奮起していたからだった。17歳青春真っ只中の慧一と杏子。恵まれた家庭に育った慧一と母子家庭で苦労人の杏子。惹かれあいながら一線を越えられない。そんなある日、杏子が事件に巻き込まれた。杏子の家庭教師先で殺人事件が発生し、居合わせた杏子だけが生き残ったのだった。さまざまな醜聞にさらされる杏子。そして19年後、杏子は鷲見と結婚していた・・・。

 導入は汗臭く甘酸っぱい青春物語であったものが、ヒロインが巻き込まれた猟奇殺人から一変するところがすごく面白かったです。杏子が巻き込まれた事件の真相が・・・これがもうなんとも・・・。好きでたまらなかった少女を守れなかった男の想いも心にせまるものがありました。犯人はいったい誰なのか? ふふふ。読んでみないとわからなーい(笑)。個人的にはかなり好きな物語でありました。

「ベッドでわたしに組み敷かれ、杏子はこう言って泣いたよ」
 ほおが緩んだ。唇をすぼめ、虚空を見つめた。
「十川くん、助けて、助けて」

『誓いの夏から』 2007.2.25. 永瀬隼介 光文社



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