酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2007年02月26日(月) 『ふたつの名前』 松村比呂美

 保奈美が勤めるサードライフと言う会社は熟年、老世代の出会いを提供している。会社の社長に見込まれ、家族は母と優しい義理の父。幸せで恵まれた毎日であるはずなのに、ふとした不安に苛まれてしまう。それは自分のルーツだった・・・

 物語を読む時、作者の人となりを強く感じることがあります。それが作者のカラーとなったかと思うと次の作品で良い意味で裏切られたりする。そんなふうに作者を意識して作品を読めることが出来るって幸運だなぁと思います。実はこの作者の松村比呂美さんとはご縁があって知り合いの仲間に加えていただいています。すごく素敵な方でかわす言葉に人柄が伝わってきます。そんな方が描かれた今回の長編小説『ふたつの名前』は、ミステリー要素もたっぷり、しかもヒロインの成長物語となっていて読んでいて清々しく思えました。タイトルの意味がわかった時にはそっちだったのかーとやられた気分でした。そうであるならば、主人公もまた・・・という無限∞ループ落ちで混沌とするもありかもしれない、ナンテ勝手なことも思いましたが、読了感を考えるとこの結末が一番だったなぁと思います。物語はただ面白いだけでなく希望を与えてくれると自分も頑張ろうと言う気になれます。ヒロインの保奈美がひとつの大きな壁を乗り越えてより素敵な女性になろうとしているところに何より作者の松村比呂美さんを見た気がしました。オススメですv

 ならば、その言葉に責任を持とう。

『ふたつの名前』 2007.2.15. 松村比呂美 新風舎 



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