酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2007年02月09日(金) |
『月の夜に洪水が』 川口晴 |
あきは風俗での衣装のまま屋上に行く。あきは屋上が好きだ。はじめての屋上の時にはメイシャがいた。小学生の時、目医者の息子のメイシャとふたり。幼いふたりの青い恋心と性の目覚め。そのメイシャが事故で死んでから、あきは外の世界を拒否するようになってしまった。メイシャが死んだのは自分のせいだから・・・。
タイトルと装丁に惹かれて読んでみました。いい意味で裏切られた作品で、読了後に清々しい思いが残りました。とても不思議な物語だったなぁ・・・。青春の儚さや残酷さや青臭さや純粋さがキッチリと詰まっている、そんな感じでしょうか。大きな悲しみにも淡々と悲しむようなスタンスで身を切られるような痛みはなく、きっと誰もが経験したことのあるような・・・そんなほろ苦い悲しみ方。ああ、いいなって思えたことが本当に良かったです。
「泣いていると、涙が膜になって別のものを見ちゃう。別のものといってもほんとに見えているから、現実の私たちを変える力があるんだよね」
『月の夜に洪水が』 2006.11.15. 川口晴 幻冬舎
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