酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2005年09月14日(水) |
『ぼんくら』 宮部みゆき |
深川北町にある鉄瓶長屋。築地の湊屋総右衛門という前身がハッキリしない男が地主。その日暮しの鉄瓶長屋の住人たちの周りで次々と異変が起こりはじめる。殺し屋が店子を殺し、名物差配人・九兵衛の出奔・降って沸いた壺信仰・・・そして長屋からひとり、またひとりと住人たちが消えていく。同心・井筒平四郎は、養子にしようと考えている美少年・弓之助と共に仲間たちの手を借りながら事件の核心に迫っていくのだがっ!?
『日暮し』を読み始めて思い立ち、『ぼんくら』を再読。うーん、宮部みゆきはやはりいいっ。グッジョブ★GJ! こういう人情モノを描かせたら右にも左にも出る人はいないのではないのでしょうか。ただただ人がいいと言うわけでなく、人間の汚さ・いやらしさもキッチリ出てくるし。どうにもならないこともあるとさらりと言い放つようなところがたまらず好きですネェ。 登場人物の魅力は言うに及ばず。ぼんくらな平四郎。美形で頭のいい奥方。渋い差配人に悩める若い差配人・佐吉。隠密の黒豆に驚異の記憶力を持つおでこ。人間誰をも転がしてしまう美少年・弓之助。苦労人のお徳さん・・・キリがにない。 その中でも私が興味を持ったのはふたりの女。ひとりは春を売る女・おくめ。ニッポンの母・お徳さんと出会えてよかったね〜と思えた女性。人生なんて辛いものと飄々と生きてる風情に惹かれます。もうひとりは佐吉の母・葵。思わせぶりなんだけど正体のない感じが想像力を刺激する。この女いったいなにをどう考えて生きてんだ?と。そしてその思いを晴らしてくれるのか(まだわからないけど)『日暮し』に続く模様。まったくもって宮部はんはソツがない。
「あら、あたし嫌われてるんですか。どうりで、家移りするって言ったらみんな愛想がよくなったわけだわ」 ケロケロと笑っている。
『ぼんくら』 2000.4.20. 宮部みゆき 講談社
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