酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年11月24日(月) 『天使の骨』 中山可穂

 王寺ミチルは自堕落な毎日を送っていた。かつては劇団を主宰し、その少年のような風貌で女たちを魅了していたミチル。なにをしたいのかどこへ行きたいのかわからずただ緩慢と生きていた。そんなミチルはボロボロの羽根をつけた天使が見えるようになってしまう。その天使はどんどんと数を増していく。ミチルは自分の激しく情熱的な過去を知る人間たちから逃げ出し、異国の地を放浪する。行く先々で出会う人々。暖かなやさしさやちょっとした絶望。新しい力をすこしずつ溜め込んだミチルが再開したことは・・・。

 ミチルと言うゲイの女性が、落ち込んだどん底から再生する物語です。中山可穂さんが描くヒロインはゲイで激しい魂を持つ魅力あふれる女性が多いです。今回のミチルも痛々しいほど傷ついているところが、また抱きしめてあげたい保護欲をそそると言うか・・・。女性が女性を愛する。私は惹かれてやまないのです。中山可穂さんの初期の作品と言うことですが、やっぱり素敵v

「気をつけて生きていきな。ころんだら起き上がれ。疲れたら休め。死ぬんじゃないよ」

『天使の骨』 1995.10.1. 中山可穂 朝日新聞社 



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