酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年11月22日(土) |
『パラダイス・サーティー』上 乃南アサ |
栗子は20代崖っぷち。30歳へのカウントダウンがはじまってしまった。家は父と母が別居中、仕事場ではお局様扱い。つまらない毎日を送っている栗子は、家から飛び出し、中学時代からの友人・菜摘のもとへ転がり込む。菜摘はゲイ。男として生き、バーのマスターをしている。栗子は菜摘の家へ立ち寄ったバーの客に一目ぼれしてしまう。30歳目前にふたりの周りが動き始めるのだが・・・。
あぁ、なつかしかったです。何年前になるかわかりませんが、私はこの作品を読んでいました。栗子の無邪気すぎる我侭さと菜摘のストイックな純粋さ。昔は確か栗子が大嫌いで、菜摘にただただ惚れていた記憶があります。 何年か時が過ぎ、再読してみるとやっぱり栗子は我侭なお嬢様だし、菜摘は痛々しいガラスのきっさきのようです。でも時の流れってすごい。ふたりとも愛しい女性に思えましたから。 栗子より、菜摘の方が魅力的であることは変わりありませんでした。菜摘は女性として生まれつきましたが、女性しか愛せないことに忠実に生きています。私は菜摘に出会っていたら惚れてしまうかもしれないな。
「ゲイっていうのは、誰よりも孤独を知っている。誰よりも愛されたくて、誰よりも淋しい」
『パラダイス・サーティ』上 1997.6.25. 幻冬舎文庫 乃南アサ
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