酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年11月20日(木) 『タスケテ・・・』 島村洋子

 藤村しのぶは綺麗な少女だった。周りの賞賛の目や嫉妬や僻みの目にさらされ、自分の美しさの価値を知る。美しさを武器に上京したしのぶだったが、人気は出なかった。田舎に帰ろうかと言う時、人気アイドル橘リリカのスタンドイン(替え玉)をすることになる。自分より才能が劣っているリリカに人気があることに釈然としないしのぶ。ある日、しのぶは自分の中に巣食った醜い感情ゆえに大変なことをしでかしてしまう。そして、しのぶは人生まるごとリリカのスタンドインとなるのだが・・・。

 島村洋子さんの作品をアンソロジーなどで拝読し、いつかきちんとしたものを読みたいなと思っていました。岩井志麻子さんのエッセイ等に登場する島村洋子さんがなかなかに毒のある(いい意味で)感じを受けていたので、興味津々でした。しかし、期待を裏切られ、そんなに過度の毒も悪意もなく、かえってホラーにしては優しい文章だと思いました。うーん、一冊ではまだわからないと言うことか。

 自殺は犯罪である。
 残された人間をずっとずっと苦しめ続ける犯罪だ。

『タスケテ・・・』 2002.11.10. 島村洋子 角川ホラー文庫



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