酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
DiaryINDEXpastwill


2003年11月02日(日) 『暗鬼』 乃南アサ

 法子はお見合いで出会った志藤和人に一目ぼれしてしまう。志藤家は、両親、弟妹、祖父母に曾祖母という今時珍しい大家族だった。大家族に嫁ぐ不安や憂鬱も和人の真摯なアプローチの前に砕けてしまう。まさに恋は盲目だった。そして嫁いだ法子を待ち受けていたのは意外なほどの家族からの温かい歓待だった。しかしある日、法子が里帰りをしていた時に起こった近所の心中事件に家族の関与への疑惑を抱いた法子は、どんどんと疑心の闇にはまっていく。やがて暴かれていく呪われた志藤一族のおぞましい真実とは・・・。

 これ、怖いですよー。ずいぶん前に読んでいたのですが、乃南アサさん攻略中なので再読してみました。おおまかな異様で淫靡な大家族の絆はハッキリ印象に残っていました。今回再読してぞーっとしたのは、巻末の中村うさぎさんの解説でも触れられていますが、<家族は宗教>なところです。郷に入りては郷に従えと申しますが、こんな家族に間違って嫁いでしまったら・・・人生が一変してしまいます。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、<洗脳>の怖さ、恐ろしさを身近に感じることができますよ。すごーくリアルにありそうで怖い物語でした。

「そう、急ぐものじゃあ、ない。長い歴史を知るにはね、長い時間が必要なものだからね。法子は、少し急ぎすぎてる」

『暗鬼』 2001.11.10. 乃南アサ 文春文庫



酔子へろり |酔陽亭酔客BAR
enpitu