酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年10月30日(木) 『THE CHAT』 椙本孝思 (すぎもとたかし)

 ソフトウェア会社に勤める平岡直之(25歳)は、仕事柄パソコンには‘強い’自負があった。金曜日の夜はチャットを楽しんでいる。現実の世界では仕事の関係上知り合った女性・石倉晶子さんにパソコン指南をし、ネット上ではネット初心者のエリスと言う女性とメールのやりとりをして、いろいろ教えてあげている。ある夜、チャット中にナカツカというハンドルネームの男が現れた。彼は自分のことを‘インターネットの亡霊’と名乗り、平岡たちのチャットメンバーに対し、「不要なファイルをゴミ箱に移行します」と言い出した。そして平岡のもとに殺された男の写真が添付されたメールが届く。平岡は封印していた忌まわしい過去を思い出す。かつて仲良くつるんでいた山村雅史がパソコンおたくの中塚慎一をいじめぬいた挙句殺してしまったことがあった。ナカツカはあの時殺された中塚慎一なのだろうか? 平岡が山村雅史の消息を調べると火事に遭い、一家全員焼死していた。次に復讐されるのは・・・。

 この『THE CHAT』は、インターネットで公開されていたそうです。チャットをテーマにした物語と言えば、栗本薫さんの『仮面舞踏会』が秀逸だと思ってきましたが、この『THE CHAT』も面白かったです。最後まで事件の真相かと思われたことが二転三転しますし、なによりラストがいいv このラストは賛否両論のようですが、私はうまいと思いましたねぇ。文章も読みやすいですし、とても楽しめました。
 いや、しかし、インターネットは怖いですね。最近チャットはあまり開催していませんが、パソコンの向こう側の人間が本当に申告どおりの人となりかどうか会ってない限りわからないのですものねー。ぞくぞくぞく(笑)v

 呪うのはいつだって生きている人間さ。

『THE CHAT』 2003.8.10. 椙本孝思 アルファポリス



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