酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年10月16日(木) 『ボクの町』 乃南アサ

 高木聖大(せいだい)は去年の秋に警察学校に入り、半年間の「初任教養期間」を終えて、今年の春から警視庁城西警察署に卒業配置された。卒業配置とは、仮免のような状態のこと。実務に慣れるための見習期間、職場実習である。聖大は交番勤務初日から怒鳴られた。警察手帳に別れた彼女とのプリクラを貼っていたのだ! 失恋から成り行きで警察に入ってしまった聖大は、同期で優秀な三浦とことごとく比べられる。片や天下一品、もう片方は‘とんでもない型破り’。目標もなくお巡りさんとなってしまった聖大はおおいに悩み、とんでもなく失態を繰り返し、すこしずつ成長して行く。

 これは毎日新聞に連載された物語だそうです。乃南アサさんがこういうコメディタッチな人情成長ものを書かれていたとは知りませんでした。うーむぅ、懐がかなり深い。ますます好きになりました。
 主人公の聖大は、かなり困ったやんちゃな男の子。この男の子が同期でエリートな友人三浦のために一気に成長し、花開く、しかしどうしてもナンパな部分は残っちゃう、そんな人間味溢れた物語でした。こんな子がお巡りさんだなんて困っちゃうなぁと苦笑しながら読んでいましたが、聖大はぶつかる事件や人々によって確実に変わっていきます。なんだかいい物語読んじゃったなぁ、ほくほくほく、って感じです。にっこりv

「人生なんて、きっかけ一つだ。そういうきっかけがないままに、たまたま親や環境が悪かったっていうだけで、つまづく子どもがたくさんいると思わないか」

『ボクの町』 1998.9.25. 乃南アサ 毎日新聞社



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