酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年10月15日(水) |
『不発弾』 乃南アサ |
「かくし味」 2年の結婚生活に破れ、栄通りに引っ越してきた俺は<みの吉>という古びた店を発見した。ハイカラな店が多い街並みに威厳を持ったまま佇んでいる。しかもいつも店は満杯で、行列お断りの札までかかっている。こうなるとますます行きたくてたまらない。ある日、運良く店に滑り込むことができた。念願の煮込みを食べてみるとうまいこと・・・。そしてこの店は強烈に仲間意識の強い常連ばかりで成り立っていた。俺が座ることになった場所を指定席にしていた男は死んだのだ・・・。
ううん、面白い。乃南アサさんって短篇もほんと読ませてくださいますね。表題の「不発弾」も爆発しそうで爆発しない男の心理がうまく料理されてましたし、私が一番気に入った「かくし味」の<かくし味>もすごい落とし方でした。大好きな貴子シリーズ以外も制覇したい野望にめらめら。ただいま乃南アサ週間にございます。
失ったことを素直に悲しめる方が、どれほど幸せか分からないということは、あえて言わなかった。
『不発弾』 1998.11.16. 乃南アサ 講談社
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