酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年10月14日(火) 『幸せになりたい』 乃南アサ

「背中」
 私は欲しいものを手に入れたはずだった。それなのに不倫をしていた頃の方が幸せだったのはどうしてなのかしら。こうなったらこいつに熨斗をつけて前の奥さんに返却してやる! きっとあの女は大喜びで迎えるはずだわっ、そう思い意気揚揚と会いに行った前妻は昔とは見違える美しい女になっていた・・・。

 1992年から1994年に書かれた乃南アサさんの短篇集です。10年ほど昔だとさすがに小道具が携帯ではなくポケベルだったりして時代を感じます。しかし色褪せないのは乃南アサさんの鋭く描く人間のあさましさ。幸せになりたいのに自分の持つなにかゆえにうまくいかない人々。こういう人間観察はすごいなぁと思います。この「背中」ともうひとつ「お引っ越し」とどちらを選ぼうか悩みました。「お引っ越し」には、すっごくいやな男が登場します。その男って私の人生でかかわったある男を彷彿させて読んでて頭に来て、ラストに溜飲を下げました! ぷんぷくぷん。度量の狭い男は最低よう。

 やっと夫婦になれたと思ったのに、背負っているものが違いすぎる。

『幸せになりたい』 1996.9.5. 乃南アサ 詳伝社



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