酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年10月13日(月) |
『半落ち』 横山秀夫 |
志木和正(W県警本部捜査第一課強行犯指導官)は、連続少女暴行魔身柄確保の連絡を待っていた。そこへ飛び込んできた連絡はW県警のお膝元W中央署からの直通電話だった。梶聡一郎という警部が<病苦の女房を扼殺した>と自首してきたと言うのだ。落としの志木が事情聴取に当たることになる。自首。証拠充分。だが被疑者は頑なに何かを隠している・・・。妻を殺した後の二日間、梶はいったいどこでなにをしていたのか。梶は完落ちではない。半落ちだ。
ものすごい物語を読み落としたまま日々を過ごしていました。完璧にやられました。ラストは鳥肌と涙でした。さすがに去年のこのミス堂々の1位作品だと今更納得しています。 横山秀夫さんの作品は『動機』を読んだだけで、深追い(笑)はあえてしなかったのです。テレビドラマ化された『顔』をすんなり読み進むことができず、読まないまま放置したこともあって敬遠してきたと言うのが本音です。 この『半落ち』は、ラストの落とし方をめぐって直木賞問題に発展したことも遠巻きには知っていましたが、読了した今、直木賞の選考に首を傾げざるをえません。こういう落としがあっておかしいと私は思わない。読んだ後の素直な感動を大切にすべきだと思いました。 アルツハイマーを苦にした女房を扼殺。その前に最愛の息子を病気で亡くしていた。そんな梶が守り通そうとした秘密とは・・・。6人の男が梶にかかわり、謎にせまり、梶を守ろうとする。こういう男たちの物語は最高にセクシー。 おそらく、読まれた方々が多いかと思います。もしもまだ読んでいない方がいらっしゃるとしたら、読んでください。こういう物語にはなかなか出逢えるものではありませんから。最高級にオススメです。
あなたには守りたい人がいませんか。
『半落ち』 2002.9.5. 横山秀夫 講談社
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