酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年10月08日(水) 『本格的 死人と狂人たち』 鳥飼否宇

「変態」
 増田米尊(よねたか)は、綾鹿科学大学の大学院数理学研究科の助教授。増田の信念は科学者たるものフィールドワークを最優先せべし、であった。増田は興奮状態になればなるほど頭脳が明晰に澄み渡る。その増田のフィールドワークは「覗き」によってなされる。そしてそのフィールドワーク=覗き中に殺人事件が発生し、覗いていた増田が容疑者にされてしまうのだが・・・。

 本当に噂どおりのへそまがり理系笑説でした(大受け)v 鳥飼否宇さんの作品では『中空』と『非在』を読んでいただけなので、意外な馬鹿馬鹿しさに笑ってしまいました。次の「擬態」もなかなか面白かったです。登場人物もヘンな人ばっかりだったなぁ。刑事もこんなのでいいの?って人だし。しかし読者への挑戦までやられるとは(苦笑)。

「いいかい、私は今日まで四十五年、研究ひと筋に生きてきたんだ。人から変態とののしっらえようと気持ち悪いと蔑まれようと、独自の研究にわが身を捧げてきた。人格を否定されるのには慣れているが、研究結果については一歩も譲る気はない。どいつもこいつも間抜けどもめ、なめるんじゃねえ!」

『本格的 死人と狂人たち』 2003.9.18. 鳥飼否宇 原書房



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