酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年09月25日(木) 『異形コレクション 教室』 井上雅彦監修

 カバーイラストがいきなり伊藤潤二さんでどっきり。こんな教室へは怖すぎて入れません(涙)。今回の異形コレクション《教室》は、なかなか面白い(怖い)作品ぞろえで1冊でかなりの恐怖を体感できます。中でも私のハートをつかんだ(笑)作品は、手塚眞さんの『ハイスクール・ホラー』と石持浅海さんの『転校』と飛鳥部勝則さんの『花切り』でした。
 手塚眞さんは、かの手塚治虫さんの息子さん。恥ずかしながら、手塚治虫さんの息子さんが多くのホラー短篇を発表されているとは存じませんでした。この『ハイスクール・ホラー』は型破りな元刑事が辿り着く事件の真相がとんでもなくホラーでした。
 石持浅海さんは仲間内でも今、話題の作家さんですが、やはり話題になるだけの方だなぁと思わされました。『転校』は、この《教室》の中で一番うなりました。映像化希望。石持さんの新作もさっそく読むことを決意。
 飛鳥部勝則さんの『花切り』は、幼い中のエロティック・ホラーさ加減の妖しさ・毒々しさが際立っていたのでお気に入り。幼いからこそってことあるものねぇ。
 他にもBigNameがずらりと並び、それぞれの角度の《教室ホラー》が堪能できます。最後に気に入った文章は、小林泰三さんの『あの日』より引用。ホラーなのに思わず笑わされたので・・・。

 君、マニアを馬鹿にしてはいけないよ。マニアは普通の人間は絶対知らないようなことについて作家が間違えたりすると、それこそ鬼の首でもとったかのように大騒ぎするもんなんだ。

『異形コレクション 教室』 2003.9.20. 光文社 



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