酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年09月20日(土) 『失われた約束』 (関西テレビ)

 1995年1月16日、阪神淡路大震災がおこった。その時、神戸に出張していた男は大怪我を負い、記憶を失ってしまう。東京で夫の帰宅を待っていた妻は震災後、夫探しに奔走するが見つからない。そのまま8年という月日が過ぎ去ってしまう。
 妻は再婚をし、研究会(妻は産婦人科医)で京都へ訪れ、失ったはずの夫を見かける。夫は記憶を失い、京都洛北にて陶芸家となり、一回り年下の女性と結婚をしていた。
 妻は失われた自分にとって一番大切なものを取り戻そうと全てを捨てて京都へやってくる。記憶を失った夫と妻の新しい出逢いは・・・。

 断ち切られた愛の残酷さは、病気で主人を亡くした私には痛すぎる物語でした。失ったはずのかけがえのない大切なものをもう一度取り戻したい気持ちは、心にきりきりと音を立てて突き刺さってきました。しかしながら別々の人生を歩んでしまったおとなの男と女の前にたちはだかる8年の月日は、それぞれの8年ぶんの人生の重みがある。本当にせつなかった。LASTの別れのシーン、妻を演じる黒木瞳は一言も言葉を出しません。あれは出せないでしょう。あの嗚咽はおとなの女性のなによりの悲しみの表現です。うまいなぁ、黒木瞳。美しいし。

 亡くしたものはあきらめました。
 この8年じゅうぶんしあわせやったから。



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