酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年09月19日(金) 『鍵』 筒井康隆 (フジテレビ‘世にも奇妙な物語’)

 フジテレビの‘世にも奇妙な物語’を録画していたものを見ていると、5作品中3作品の内容を知っている・・・。むぅ、と思いエンドロールを見てみるとさもありなん。本で読んでいたのですね。筒井康隆さん、小松左京さん、山田正紀さんの作品でした。うまいセレクションしたなぁ、と感心してしまった。

 山田正紀さんの『ホームドラマ』も形を変えたストーキングの恐怖を感じて面白かったです。これなにかの短編集で読んだのだと思うのですが、思い出せません。
 一番面白かったのは、筒井の御大の『鍵』でした。これはたぶん短編集が押入れのどこかにあるのじゃないのかな。
 江口洋介演じる主人公は夜毎悪夢にうなされ熟睡できない。仕事場で残業をしていて昔よく着ていたジャンバーを見つけ、嬉しくなって着てホテルへ向おうとする。タクシーの中でジャンバーのポケットに入っている‘鍵’の存在に気付く。それは今では倉庫と化している昔の部屋の鍵だった。そして‘鍵’に導かれるようにその部屋に向かい、そこでまた‘鍵’を見つけるのだった・・・。

 さまざまな記憶の場所に向かい、そこで鍵を見つけ、その鍵を介して過去へ旅をする主人公。主人公が記憶に封印していた過去とはいったい・・・。さすがは御大の作品をもとにしただけあって妙に引き込まれ、なおかつ怖いです。怖いけれど引きずり込まれていく主人公の心情にも同調してしまう。これは部屋の押入れをひっくり返して原作を読まなければ、と思ったのでした。



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