酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年09月18日(木) 『世界がはじまる朝』 黒田晶

 ルビーは、14歳。記憶を失ってしまう病気。混乱した娘を母はニューヨークから日本にいる元夫デイヴィッドに預けることにする。デイヴィッドはルビーのパパだけど本当に本当はゲイなので、今は愛人(男)ジェッシィと暮らしていた。ルビーはジェッシィと親しみ、日本に慣れ始め、そうしてケイゴという少年と恋に落ちるのだが・・・。

 あのローティーンの頃の時間というものは、とても不思議な流れと濃さを持っていたな、と思い出しました。おとなでもなく、こどもでもない、ほんのひとときの今しかない時代。息苦しいほどに今しか生きられない少年と少女のもどかしさがなつかしい。少女が記憶を失っていく病気であるのは、時間を意識しなくなった私への警告かもしれない。

「あんまり好きすぎると、悲しくなって泣いてしまう」

『世界がはじまる朝』 2002.9.20. 黒田晶 河出書房新社



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