酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年09月11日(木) 『まひるの月を追いかけて』 恩田陸

 静は旅に出る。ザラザラした憂鬱と幸福を感じながら、異母兄の研吾を探すために奈良へ。同行者は兄の恋人だという女、優佳利。美しくさばさばした不思議な女性。異母兄はいったいどこへ消えてしまったのだろう。いつも物語の脇役である静は、旅先でもさまざまな人間模様というドラマを見つめる役割を果たす。しかし本当のヒロインは静なのだろうか?

 陸ちゃんならではの夢の中に迷い込んだような世界です。うまいっv 研吾が追いかけた‘まひるの月’については結構はやくにわかってしまいましたが。研吾を巡る女性たちの心が苦悩がせつなく哀しい・・・。
 家族とか恋人とか愛する存在には多かれ少なかれ依存をしてしまうものだと思います。その依存から抜け出そうとあがいた研吾。研吾を引きとめようとする女。でも描くのが陸ちゃんだからどろどろしないんだなぁ。

 人生の中で、濃密な時間を共にできる人間はごく限られている。その人間を失うということは、そういう時間も失うということなのだ。

『まひるの月を追いかけて』 2003.9.15. 恩田陸 文藝春秋



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