酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年09月06日(土) 『シェルター』 近藤史恵

 恵は、勤め先の整体師・合田力先生と妹・歩に旅行へ行くと嘘をついて東京へ流れていた。偶然カフェで隣り合わせた美少女にすがられ、なんとなく拾ってしまう。美少女は何者かに追われているらしい。無意識のうちに恵は妹・歩をだぶらせてしまったのかもしれない。この美少女の正体は・・・。

 破天荒で心優しい整体師・合田力先生の下で働く訳あり美人姉妹、恵と歩の物語です。人は生きているとたくさん辛いことがあっていつのまにか‘シェルター’を探している。でも一時的な‘シェルター’ではなく、帰るべき場所が自分にあると気付くことができた人間はしあわせなのだと思う。
 近藤史恵さんの物語に出てくる女性は、トラウマや傷や闇を抱えていることが多い。それらを乗りこえるか、うまく付き合っていくか、自分の立ち位置や心のありようで毎日がからりと変わる。それに気付かせてくれるさまざまな心優しい人々がいる。人生まだまだ捨てたものじゃないなーとほろりと泣けてしまいました。
 「カナリヤは眠れない」、「茨姫はたたかう」に続くへんてこ整体師・合田力シリーズ三作目です。今回は控えめな合田力先生ですが、その存在感は圧倒的。合田力って理想のタイプだわー。欲しい。

 そう、たぶん、答えはひとつではないのだから。

『シェルター』 2003.9.10. 近藤史恵 詳伝社



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