酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年09月05日(金) 『デッドエンドの思い出』 よしもとばなな

 <あとがき>でよしもとばななさんが、‘つらく切ないラブストーリーばかり’と表現された5つの物語です。‘これが書けたので、小説家になってよかった’とまで言いしめた「デッドエンドの思い出」もとてもよかったです。でも私が一番心にじぃーんときたのは「おかあさーん!」でした。ある男のねじられた復讐のとばっちりを受けてしまった女性の物語。復讐に巻き込まれ、体を害し心まで痛めてしまう。でもそのことで見えなかったことが見え、忘れていたことを思い出す。かけがえのない母との甘く優しいふれあいを思い出したとき、彼女は生きながら生まれ変わることができた・・・。
 5つの物語は全ていいです。ほろほろと泣きながら癒されながら読了。よしもとばななはやはりいい。母になったよしもとばななの書く物語にも期待しますv

 あの、神経質でいつもいらいらしていた笹本さんが、死にかけて、生き返って、にこにこして優しい目で私を見ている。その私も死にかけて、運良くまだここにいて、こうしてその優しさに触れている。
 その全体が、何かすばらしい奇跡のように思えたのだ。

『デッドエンドの思い出』 2003.7.30. よしもとばなな 文藝春秋



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