酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年09月02日(火) 『ばね足男が夜来る』 松尾未来

 千野恵は、図書館で本を借りて読むことを趣味とするOL。美人で男性の気をひく女性だが、恵自身はあまり男性に興味を持てない。目下の悩みは同僚の関口のストーカーのように執拗なアプローチだった。ある日、仕事帰りに閉館間際の図書館に立ち寄り、吸い寄せられるように黒い表紙の本を手にする。本を開くと「ばね足男の謎」と奇妙なタイトル。翌日、関口が焼死体で発見された。やがて、恵の周りで謎の放火事件が相次ぐ。これはジャンピングジャックと言われる魔物の仕業なのだろうか?

 つくづく良質なホラーを書ききるというのはむずかしいものなのだなぁと思ってしまいます。題材は面白いと思うし、読みやすい。けれど最後が物足りない。最後を解明にするのか、続いていく恐怖にするのか、せめてホラーならではの最後の落としが欲しかったなぁと言う感想でした。不気味な本って小道具はとってもいいのになぁ。

 病院という場所には、普通ならあり得ないようなことでも、あたりまえのように起こることがある。

『ばね足男が夜来る』 2000.8.28. 松尾未来 ハルキ・ホラー文庫



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