酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年08月21日(木) 『ススキノ、ハーフボイルド』 東直己

 松井省吾、高校三年生。彼女はススキノで働く年上の美女・真麻。真麻の半分ヒモのような状態でお金をもらっては夜な夜なススキノを飲み歩いている。おとなたちにも可愛がられ、ちょっといい気なボーイである。ある日、キュートな同級生・金井から相談を持ち込まれ、カッコつけながら巻き込まれてしまう。省吾の前に立ちはだかるのは不気味な変態同級生・柏木だった・・・。

 東直己さんのススキノものと言うことで、期待して読んでみたら・・・お馴染みさんは登場するものの、主人公はちょっくら生意気自意識過剰真っ盛りな男の子でした。だからハー‘ド’ボイルドではなくて、ハー‘フ’ボイルドなのね、と妙に納得。そのハーフはもうひとつ隠れテーマにも通じるかもしれない。深読みかな?
 物語はそれなりに面白く進行するのですが、いつものおとななハードボイルドではないぶにちょっとなぁ・・・と内心ぶぅぶぅ言ってたら、やられました。うまい! 最後の最後にくるりーんっとひっくり返されて唖然としました。やはりススキノはおとなの街だ。最後のほんの数ページで畳み掛けられ、参りましたと言いました。はい。
 しかし・・・年齢は関係なく生まれながらの‘悪’は‘悪’という感じ。必要にせまられて‘悪’に墜ちていくのとは格が違う背筋の寒さを感じます。

 本を読まないやつは、顔が違う。きっと、活字を目で追う、ということをしないやつは、目つきが鋭くなっちまうんだろうな。

『ススキノ、ハーフボイルド』 2003.7.25. 東直己 双葉社



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