酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年08月19日(火) 『めまい』 唯川恵

 それははじめは確かに愛だったはずなのに・・・。愛すればこそ壊れていく女たちの10通りの物語。愛が形を変えたとき、恐怖が幕をあけるのだった。
 唯川さんの短篇集です。いちおうホラー集になるのかな。でも怖い話ばかりでもなく、不思議なテイストのお話もありました。私が気に入った物語をご紹介。

「きれい」
 庸子は美容クリニックを開業し、がんがん整形を行っている。庸子は昔から醜いものが大嫌いだった。そんな庸子のもとへかつて醜いという理由で苛め抜いた女、吉江がやってくる。吉江はほぼ全身の美容整形を庸子に依頼する。危険だと知りつつ、目の前の現金に目がくらみ、吉江の要望どおりの整形を施す庸子。その結果、見たこともない美女が誕生し、庸子は・・・。

 結局、苛めた側よりも苛められた側の恨みの方が根深く残ってしまうのです。吉江の執念はすざまじい。ラストシーンは結構ぞくりとしちゃうかも。

 他の短篇もとてもうまいなと思いました。一番怖いものはやはり人の心なのかもしれませんね。暑い夏にお薦めの短篇集でございますv

『めまい』 2002.6.25. 唯川恵 集英社文庫



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