酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年08月13日(水) |
『学校の事件』 倉阪鬼一郎 |
吹上(ふきあげ)市、吹上高校に関係するものたちが目論んだ放課後の完全犯罪。しかしことごとく思い描いた犯罪の結末とは違う方向へ落ちていく・・・。微妙にリンクし呼応しあっていった吹上市で起こった数々の連続怪事件はどうして起こったのか。悲しくて残酷でちょっとだけユーモラスな犯罪者たち。
これは、吹上高校というとある田舎の学校の関係者たちが、壊れたり暴走したり日常から狂気へおちこぼれていく物語たちです。物語の発端と、物語の終了がきちんとつながっていて、それなりにふーんと思ってしまったわ。残酷でグロテスクでエロチックで、なぜだか笑えてしまう。妙な短篇集でした。一番、気に入った物語は、「二学期 蔵書印の謎」でした。さえない教師が趣味の収集した古書に自分の蔵書印を押した瞬間から、彼の狂気の世界への幕があきます。しかし男性教師というのは大なり小なりこういう妄想を持っているの?と疑ってしまいますよー。
人の心の中には必ず闇がある。もしくは空洞がある。
『学校の事件』 2003.7.30. 倉阪鬼一郎 幻冬舎
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