酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年07月22日(火) 『ドールズ 闇から招く声』 高橋克彦

 ※これは『闇から来た少女 ドールズ』、『闇から覗く顔 ドールズ』に続く物語です。このニ作品を未読の方は、先に是非そちらをお読みくださいませ。流れとネタバレの関係で、この酩酊本処はよまれない方がよろしいかと存じます)

 月岡真司が、娘・怜のことでこの1年半世話になった御礼にと恒一郎ほか目吉せんせーを巡る仲間たちを温泉に招待してくれた。ここで恒一郎は目吉の苦悩を知りながらも、目吉を失いたくないと強く願う。戸崎は医師の立場から老人性鬱病ではないかと案じる。
 そんな目吉を気晴らしにとある輸入物産フェアに連れて行き、恒一郎と怜(目吉)は見世物小屋に入る。グロテスクなつくりものの死体の中に目吉は本物の血のにおいを嗅ぎつける。そしてふたりの周りで連続殺人がはじまった・・・。

 今回、泉目吉は自分の転生の苦悩にぶつかっています。このまま怜と生きて怜が死んだ後、また自分は転生を繰り返すのではないか?と。思い悩む目吉の前に黒々と現れたのはサイコキラーでした。今まで目吉が相対した犯罪者たちは人間の持つ心の闇ゆえに鬼になってしまった人ばかりでした。一歩間違えると自分がそうなりえる人たち。しかし今回の相手はまったく違います。生まれながら(?!)人を切り刻み殺すことに喜びを見出し続けているモンスターですから。そのモンスターと目吉の交錯は必然だったのかもしれません。目吉せんせーの明日はどっちだっ?
 このシリーズが必ずまた続くことを心から祈って・・・。目吉せんせーカムバーックv

「生まれ変わりをし続けるってのは、反対に羨ましいような気がするけどね。人間のあらゆる根源は死ぬことにある。それから解放されたらなんにも怖くない、と思っていたが・・・・・・そういう考えもできるのか。いつまでも死ねないのは、それでまた恐ろしい」

『ドールズ 闇から招く声』 2001.9.10. 高橋克彦 角川書店 



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