酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年05月22日(木) ラッシュライフ 伊坂幸太郎

 「金でかえないものはない」と豪語する画商の戸田と、恩人を裏切り戸田と契約を結んだ画家の志奈子。美学を持っている泥棒の黒澤。名探偵(?)の教祖を信じ、その神(教祖)を解体しようとする塚本。愛人の妻を殺そうと企む京子。リストラされ途方にくれる豊田。5つのバラバラな物語が、表紙にも使用されているエッシャーの騙し絵のようにどこかが錯綜しリンクし、最後に・・・。

 いやー、伊坂幸太郎さん、よいですねー。去年のこのミスにランクインした時に本気でチェックしておけばよかった。結局伊坂幸太郎さんの本は、『オーデュポンの祈り』→『重力ピエロ』→『陽気なギャングが地球を回す』→『ラッシュライフ』と妙な読み方になってしまいました。でもどれもこれも噂にたがわぬ面白さ!
 今回の『ラッシュライフ』にも、『オーデュポンの祈り』のアノカタがちらりと登場します。伊坂さんはよっぽどアノカタがお気に入りなのですね。
 5つの物語が交錯して物語は進み、最後に読者は綺麗な伊坂幸太郎さんの騙し絵に騙されます。5つの物語がそれぞれ単独でもおもしろいので、もっと分厚くなってもいいところなのでしょうが、伊坂幸太郎さんはそれを潔しとしなかったのでしょう。そのあたりもとても好感の持てる作家さんです。
 この『ラッシュライフ』の中では、泥棒の黒澤さんがすっごく素敵。めろりんでした。いろんな事件がありますが、文章にやさしさを感じます。ラッシュライフー豊潤な人生に乾杯。最高でしたv

 「Lushは酔払いという意味で、飲んだくれのやけっぱち人生ということらしい。おまえに必要なのはむしろそういった開き直った生き方かもしれないな」

『ラッシュライフ』 2002.7.30. 伊坂幸太郎 新潮社 



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