箱の日記
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行き交う車
鼻をかむ女子高生
見えない線につまづく
わたしたち
ないものがあるように見えたり
あるものを見失ったり
友だちにも言えない
傷ついたり壊れたりしないためのしくみ
捨てられて消えないように確かめる
じぶんのなまえ
誰かなんてほんとうはどうだっていいのに
空から見えるのは
キリンであり サイであり
シマウマでもある かなしみ
と それの手を引く いつくしみ
点々と
うすいかたちで食べ歩く群れを
連れていく人間たち
消えてしまう前にきっと
きっとまだ戻っていける
ヘリコプターは高く上昇する
けぶる街の低い層にたちこめた
埃っぽい空気が紫に染まりはじめると
そこには
希望までもが混ざり合い
繰り返しをゆるしたものたちが集まり
これ以上悪くならない日々に乾杯する
わたしたちも
くしゃみをした女子高生も
そこで夕やけを仰いでいる
見えない無限の線で描かれた街が
きょうも消えてなくなりませんように
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