箱の日記
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誰かを祝う夜の騒ぎを抜け出すと
やわらかな港だった
ずらりとならぶクルーザーたちには
アルファベットで
動物や知らない女の子の名前がついていて
ひとつひとつを呼ぶたび
頷くように揺れた
ロープにつながれた彼女たちの
従順なあきらめ
はるか遠くから届くシグナルのようなさざ波に
たぷん と返す静けさ
ジョセフィーヌ
ナナ•ジェイ
君たちの生まれた町だとか
くぐり抜けてきた荒波のこと
魔法のような出逢いとさよならや
夕暮れに魚が跳びはねる本当の理由について
おしえてくれるのなら
今ごろパーティーはお開きになって
じきにさめた現実が陸からやってくる
いずれこの港にも
くりかえしという幕が覆いかぶさり
すべてをリセットする
希望みたいなものはぜんぶゼロになるから
いまのうちに たぷん
と
かさねている
よせる波に
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