箱の日記
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憶えきれないくらい
何人もがやってきては
去っていった病室のベッドに残るのは
消毒では消えない熱のようなもの
つないだ手のぬくもり
悲しみに染まった涙
残された時間のこと
不滅の神だとか無限の宇宙への思い
鋼鉄のバネは
しっかりと重い体幹をあずかり
不自由を自由にする
懸命で
燃え尽きたひとよ
染みわたる雫のように
落ちては
かならず また生まれる
誰にも言えなかったひそかな告白
あの生意気な医者の弱点
愛おしい白衣の天使
まとめきれなかった生きることの意味
いつからか
鋼鉄のバネは
ぎしぎしと音をたてる
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