箱の日記
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きらめき
地図には載っているのに
空から探しても見つからない境界線の上
仰向けで
ためいきをついたかと思えば
鼻歌を歌ったりする草むら
そこら辺で線路は終わっているから
大丈夫
轢かれたりしない
誰も境界線を越えにここまで来たりしない
はっきりとした青い空を背景に
ちぎり絵のような雲が流れていく
風は透明なまま通っていく
黄色い足を隠した鷹も
陽を浴びてあたたかいミツバチも
好きなように飛んでいく
行き来するものたちのささいな音が
この場所から時間という“うすのろ”を消してしまうと
自由になった胸がふいごのように
ふくらんだりしぼんだりするのがわかる
じっさいのところ
人だけが通らない境界はきらめき
しるしのように輝いている
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