初稽古の朝氷水のように冷たい水から雑巾を絞り取り道場の床を拭く両腕にかかる力の無駄がないようにと肩口をただ前に向け東へつぎは西へと誰がきくでもない足音をはね返らせている薬指の霜焼け旧年にやった捻挫この白い息静かだ誰彼の倒れた痕ですら静かだわたしはただ無駄がないようにしている幾度も繰り返している