箱の日記
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2004年12月30日(木) 夢のあとに



夢のあとに



チェロの弓をひいたとき
息を震わせるすさまじい魂が湧いてくるようだった
僕のどこにこんなものがあったんだろう
一曲弾き終えると
しばらく手が震えて言葉も出なかった

君はなんでもない表情で
次の曲名をつげた
水を二口飲むとピアノがはじまる
後れをとらないように、
僕は

宇宙っていうのは
二つあって、僕らが観測できるのはその一方
もうひとつのはすぐそばにあるはずなのだけど
誰もそこへ立ち入ることはできない
意識することすらままならない
それはこの世界に「僕が存在する」っていうことにほかならない
たとえば
ガラスに額をくっつけたとき
あちら側に見える気がするもうひとり
彼が知っているかもしれない
すごい魂の宿るところを

決して教えはしない

また一曲を終えて
窓にその姿を探すけれど
彼はいない
かわりに、真っ暗な闇の中に浮かぶ街灯が
強風にうごめく楠木を照らしている
僕の弦がそうさせている





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