箱の日記
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植物園行き
植物園行きのバスに乗って僕はどこかへ行こうとしている 空席のそばに立って 片手に葬式でもらった香典返しをぶら下げ ずいぶん冷えるから セーターを着てこれば良かった なんて考えている 暖房の音はするのだけど
布団のなかのきみの 困ったような 欲しいような 額のあたりを思い出すたび 「降ります」のボタンがピイと光る あれはなかったことにできるんだろうか
いつのまにか 周りはじいさんばあさんばかり このまま誰も降りなければ皆 植物園行き
だから僕が次のボタンを押す 指先が震えたら って考えると胸がつまるのだけれど
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