箱の日記
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2004年10月31日(日) 林檎





落ちたばかりの林檎がひとつ。
落下するところを見ていたわけではないが、
それを囓るのはわたしだ。園主はどこかへ行ってしまったのだから。
つややかな赤を肩で磨き
どうして落ちてしまったんだろう、いまごろに
と、
林檎を点検する。
まだ虫にさえ見つかっていないその果実は、本来
地を這うものの取り分だ。
わたしは磨いた部分を囓り、
そのすっぱい匂いが、この園にいきわたる
ほのかな湿気であることに気付く。
歯型を見ていたら、
地を這うように生きたいと思った。
そうして、誰にも文句を言わせないのだ。






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