箱の日記
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2004年10月16日(土) 卒業




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そのマウンドのあたりで仰向けに寝ころんだ。そして、どこか遠くで起こっている
できるだけ悲惨なことを考えた。戦争だけじゃない。言葉も知らない国の失業、
交通事故、堕胎、ドラッグ、情け容赦ない電話のベル。
背中が冷たかった。グラウンドから湧いた冷たい血のせいだと思った。
おわりははじまり、おわりははじまり。呪文みたいに僕は唱えた。

どれだけ時間が経ったかわからないけれど、目覚めたら朝だった。
僕はふらついた足取りで、なんとか別荘まで戻っていった。路の脇に側溝なんてなかったんだ。
連中はひどいいびきが響きわたる淀んだ空気の中、誰も起きてはいなかった。
大学を受験しなかったTは、別のTの尻に向かって口を空けていた。
いびきがなかったら、皆死んでいるんじゃないかと思うような光景。淡い光のなか、だれも動きやしない。
きゅうに彼らが孤独にみえた。全部で7人、僕をいれて。
僕は僕だけ起きていることが馬鹿馬鹿しくなって、部屋の入り口のところに座布団を敷いて
眠ることにした。誰かがドアを開けたら真っ先に僕がこぼれ落ちてしまうのに。
でも、きっと誰も来ないさ。




 


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