箱の日記
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2004年09月15日(水) 台風一過



台風一過



きのうの台風で電話線が切れた。
もちろん、電線も。それから、国道へつながる小道のいくつかは
なぎ倒された木々で通れない状況だ、たぶん。
つまり今日からしばらくは仕事がないってこと。
僕が仕事に出掛けられないせいで誰かが困ったとしても、
電話さえかかってこないのだ。これは神様の仕業。

庭ではなにもかもがひっくり返っている。植木鉢やバケツ、そして
プラスチック製の滑り台まで。それらは眠ることができなかった夜じゅうの疲れを
朝陽の温度で癒しているかのよう。
僕はすっかり安心して、ソファに深く座った。これでテレビがついたのなら
言うことなしだと思った。いや、テレビさえつかないから安心なのかもしれない。
テーブルの上に先週の新聞が置かれていて、表紙の男がにやりとこちらを向いている。
とても親しげに。彼のことはよく知らないが、
ほんとうに親しい知り合いのような気がしてきた。ねえ、誰だっていいのさ。

本日、ほんとうにほんとうの「離れ小島」だと思ったが、
そこまでの実感はなかった。数時間前まで嵐だったのが嘘に思えるのと同じくらい
ここが「離れ小島」であることが信じられなかった。まるで僕がつくったフィクションだ。それに、
鳴りだすはずのない電話のことも。
受話器をあげて、音がしないことを確かめたりする必要はないんだ。
僕が気に留めていなくてはならないことはただひとつ。
この家のどれくらいの部分を修理しなくてはならないか、ということ。




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