箱の日記
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2004年07月02日(金) 告白




告白




僕らは、陰のない公園のベンチに座って、
どんなささいなことでも、話題にしなくちゃいけなかった。
子供がつくりあげた砂山だとか、
そこにやっと通ったトンネルのはなしだとか、
刈られたばかりの草むらのにおいだとか。
あとは、
どうしようもない日照りのこと。
そのどれもが、長くは続かないのだし、一度言葉にしてしまったものは
それっきり。
汗を拭いて、僕は途方に暮れた。

(きみにはなしたいことなんてほんとうはなにひとつないんだ)

僕らは、午後の一時から、いったい何時まで
あのベンチに座っていたんだろう。

その夜、きみに電話する声がふるえて、すごく恥ずかしかったし、
なにより、電話ボックスのなか、見たことのないくらい
大きな蛾が、じっとみつめていることに驚いたんだ。

 


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