箱の日記
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きみに寄り添う
稲の花ですっかり鼻水ずるずるの わたしが 工場の横を歩いていく ふしぶしの 音をたしかめ 油を踏まないよう 北門から 新しく建った南棟まで 仰向けのくしゃみを連発しながら プレス機の 一定のリズムのそば いつかのきみが汗だくでいる棟の横を 通り過ぎ つぎにまた甲高い アームの打ちおろす音が近づくと 空に風をさがす はくしょんん
こうしてわたしは 君に寄り添う はるかでもない彼方で 油のにじみをよけながら 南方へと
このあたりでは すっかり雨はやんだのです
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