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2013年06月11日(火) |
『いまぼくがかんがえていること 〜音楽は何を表現するのか〜』 |
これは、6月9日の公開レッスンで、北川正先生がお話くださったのをまとめたものです。 お話を伺った時、私はとても感動して公開レッスンの場だということを忘れそうになりました。 公開レッスンのような演奏の実際的な面が中心になりがちな場で、このような哲学的ともいえるお話を伺うことができるのは、北川先生の音楽家としての大きさと先生が経験してこられた音楽の世界の精神的な高さによるものだと思いました。
―――――――――――――――――――――――――――― 【なぜ人はコンサートに行って音楽を聴くのか?】
音楽は文字や数字のように具体的な何かを伝えることはできない。 その代り、人間の精神状態を人に伝える事ができる。
音はそのまま伝わり、作曲家や演奏家の精神的な高さを受け取ると、人は満足する。 そして音楽が伝わる精神状態というものがある。
コンサートでは、聴衆は皆、違う事を考えてコンサートに来る。 また、何に感動するかは一人一人違う。 にもかかわらず、演奏がはじまると、呼吸からなにから同じ気持ちになる。
ヨーロッパの音楽は演奏時間が長い。 それが聴いている人を、音楽が伝わる精神状態に導き、音楽は言葉にできない感動を与えてくれる。
(例として北川先生は、シャルル・ミンシュ追悼コンサートでカラヤンが指揮した、 パリ管弦楽団の『ドイツレクイエム』を挙げられました)
長い音楽を聴いている人は、だんだん気持ちが同じになる。 それが音楽を理解したということ。
【音楽を何のためにやっているのか?音楽って役に立つのか?】
こんな悩み(?)や考えが多く耳に入るこの頃だが、そう思うのは日本が平和で幸せだからではないか。 紛争地域の大変な状況でも、人々は音楽をやっている。 そうして音楽をやっている人々は、「音楽をやっていて良かった」という。
音楽を通じて表される『心』、それは人間の一番高い精神状態ではないか?
【子どもに教える時】
ピアノを子どもに教える時、先生が生徒に言葉で音楽を説明しても、子どもは先生の言うことがわからない。 言葉で説明してもそれだけでは先生が考える音楽は伝わらない。 音楽において言葉は無力で、自分の感じたことをそのまま伝えるのがとてもむずかしい。
レッスンで一緒に弾いてみると、子どもは同じ気持ちになることができる。 音楽というのは人間の精神のあり方を表していて、一緒に弾くことで先生の精神のあり方が生徒に伝わるから。
子どもというのは愛情を持って育てると必ず伝わる。 先生の言うことは何でも信じてしまう。 そして、先生がその子どもの事をダメだというと、それも信じてしまう。
でも、ダメな子は一人もいない。 ダメに見えるのはは、状態(環境)が理想的じゃない。 程度が違っても伸びていく力を皆持っている。
【音楽家を育てるお母様へ】
今の世の中がどんなにヨーロッパの宝物から遠いか。 ヨーロッパには各所に教会があり、そこに10分くらいいると落ち着いた気持ちになれる。 日本にはそういう場所がない。
一日同じ気持ちでいることができない場合も多い。 お母様ができるだけ時間を取ってあげて、落ち着いて物を考えられるようにしてほしい。
せっかくやったのだからずっと勉強を続けさせてあげてほしい。 音楽に対する熱意をもっていれば、才能はあとからついてくるものだから。
音楽は上手いか下手かの判定ではない。 大切なのは、人間に対する心。
ベートーヴェンは「人を大切にする」音楽を書いた。 「人を大切にする」とは知り合いに親切にするような事ではなく、人類全てに対してのもの。
お母様もそういう気持ちで子どもを育ててほしい。
【どういう音楽を目指すのか】
多くの人が聴いていたい音楽を目指すこと。 それが、心が通じるということ。 ――――――――――――――― 先生の言葉をつなげるとこんな感じです。 私はお話を伺ってとても感動したのですが、読んでくださる方が同じような気持ちになるように書くのは難しいですね。 次の機会にはもっと大勢の方がお話を聴けると良いな…と思います。
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