【緩やかに向かう終焉】 - 2012年08月13日(月) 先が分かっているのに見えない。 朝、モーゼルの鳴き声と家族の呼びかけ、どちらで目が覚めたか定かではない。 相変わらず、モーゼルの呼吸は荒々しく、苦しそうだ。 もはや既に体力勝負となっていて、自分にできることは水で解いたポカリを 注射器で口元に注いでやることと、全身を優しく撫でてやることだけ。 ひたすらもどかしい。 落ちると分かっているフリーフォールを目隠しで乗っている気分。 でも、目の前に居るモーゼルは必死に生きている。 それに応えるだけ。ただただ、その一心で向き合い続ける。 午後になり、東京から姉の一家が訪ねてきた。 本来であればお盆の後半を実家である我が家で過ごす予定だったのだが、 直前になって変更していたのだ。 モーゼルも、当初の予定ではお盆中は入院だったので、これもモーゼルが 持つ縁の力なのだろうか。 「もう治らない病気」と姪っ子達には伝える。 小学校3年の上の子は、状況を理解して悲しんでくれた。 下の子達は、一応病気ということは分かったので、優しく撫でるように 伝える。皆、モーゼルのことが大好きで、うちに来るといつも遊んでくれた。 しかし、モーゼルの反応は段々と薄れているような感じがした。 どうせなら、やれる事は全部してやろう、と弟と話し合い、日が暮れてから モーゼルを庭に出してやることにした。 いつも寝転んでいた、大好きな芝生の上を、せめてもう一度。 意識のある内に感じて欲しいと思ったから。 弟と二人がかりで運び出し、そっと芝生の上に横たえる。 すると、モーゼルは手足をバタつかせ、半身を起こした。 そして、差し出した容器の水を自力で飲み始めた。 テレビで見るような奇跡には程遠いが、それでも今の自分には十分すぎる ほどに嬉しい奇跡だった。 体力的には既に限界のはずで、その後も何度も倒れた。 それでもまた半身を起こす。 途中から座椅子を使って半身を起こした状態を支えてやる。 すると、傍らで姪っ子たちが花火を始めた。 嬉しそうにはしゃぐ姪っ子たちを、モーゼルはじっと見つめて、時折 前足をパタパタと前掻きする仕草を見せる。 あの輪の中に加わりたいんだ。 モーゼルはもっともっと生きたいんだと実感した。 結局、3時間ほど庭で過ごし、再び家の中に。 すると、前のように横たわったままになった。 しかし、前のような荒い息遣いではなく、少し落ち着いた感じになった。 それを見て、ふと頭の中をよぎる思い。 「最期は、眠るように逝って欲しい」 明日の朝も庭に出せるようであれば、出してやろう。 彼の意思で体力を使い切り、満足して逝ってくれることが現在取りうる 最良の選択なのかもしれない。 その為に飼い主がすべきことをしよう。 そう思いながら傍らに付き添いつつ、眠りについた。 ...
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