【闇】 - 2007年08月27日(月) 重すぎる。 入院中の甲斐姫様が気になって仕方ないので、休み時間の度に 病院へ電話を入れる。 しかし、返ってくる返事は刻一刻と状況が悪化するということのみ。 あまりに状況が悪化するのでレントゲンを撮ってみたところ、写るべき 臓器が影に覆われて全く見えない。医者の判断では出血が内部で起こり、 それが影になっているのではとのこと。 このままでは輸血が必要になるかもしれないが、出血がどこから起きて いるのか、原因は何なのか、がハッキリしない以上、輸血をしてもあまり 意味がないという。 もう目の前が真っ白になりかけた。 このままでは最悪の事態は免れない。それだけしか分からない。 何を考えても最悪のパターンしか浮かんでこない。 しかし会社にいる以上、仕事は仕上げなければならない。 泣き出したくなる衝動を何とか抑えて仕事に取りかかる。 終業後、すぐさま病院へ向かう。 やはり状況は刻一刻と悪い方へ向かっている。体力は落ちる一方で 貧血は進み、熱で呼吸は荒くなる。 もう何をしていいか分からない状況で、獣医は「よその病院に意見を 聞くのはどうか」と提案してきた。所謂セカンドオピニオンというヤツ。 正直、ここの病院の設備では調べようが無いというのが結論らしく、 深谷にある大きな病院に良い腕の獣医がいるのでそこで聞いてみるのが 良いという。確かにここにいても手詰まりなら余所へ行けるうちに行って 診てもらうしかない。ならば今すぐ。 獣医に頼んで向こうの病院へ連絡を取ってもらい、紹介状とカルテや 検査結果等を頂く。車に甲斐姫を乗せて、大急ぎで且つ身体に負担を 掛けないように深谷へ向かう。もうやれることを精一杯やるしかない。 程なくして渋滞に巻き込まれることもなく診療時間ギリギリで無事に到着。 早速、受付に話を通してもらい診察へ。生憎、院長が不在であったが 2名の獣医が診察に取りかかってくれた。 まずは胸に溜まった血を抜き取り、成分を分析し、エコーで身体を調べる ことになった。 しかし、ここでの診断は更に厳しい現実を突きつけるだけであった。 エコーの結果、「腫瘍らしき物体」が写っているとのこと。 血の溜まり具合が酷く、象が鮮明に写らないが腫瘍の可能性が高いと。 本来であれば血抜きをしておきたいところなのだが、体力的に不安があり、 ショック症状を引き起こしてしまう可能性が捨てきれないそうだ。 現状、すぐにこのまま入院して治療に移った方が良いと言われた。 とりあえず腫瘍があると思われる部位に針を刺して組織片を採り、 それを分析機関へ送り正体を突き止め、治療の方針を探るとの事。 明日には院長も来るので、院長の方針と合わせて方法を模索するほか無い。 腫瘍=ガンの可能性は非常に高い。 正体不明の存在に、自分は押しつぶされる寸前である。何をしろと。 更に、貧血の症状がかなり重く、このまま明日を迎えられるかどうかも 一つの山場であると説明された。短期間に急激な体調の変化が起こり、 身体が付いていけなくなる可能性があると。 もう説明を聞いているだけで精一杯の状態。倒れてしまえばどんなに楽か。 でも甲斐姫は懸命に生きようとしている。荒くなった呼吸で必死に。 撫でて、声を掛けるしか出来ないが、懸命に励ます。涙と鼻水にまみれ ながら言い聞かせるように。 診療時間を大幅に超え、残業している人達が帰るギリギリまで側に付きそい 落ち着かせる。ようやく呼吸が少し安定し始め、何とか保ってくれそうな 希望が見えてきた。 しかし、明日を迎えたところで何かが変わるわけでもない。むしろ症状は 悪化の一途をたどっている。院長の判断がどうなるのか分からないが、 現状では一週間先すら見えない。 真っ暗闇をもがくしかない。 ...
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