「麦ちゃ〜〜ん、、、」 おとうしゃん、お腹切るのよ〜〜〜。。。」 病院から帰ってきたダンナが、 ミョーーーに心細そうな甲高い猫撫で声で、麦に話掛けている。 横目で見ながら、なるべく触れないよーに知らん顔することにした。 切るとか、ビョーキとか、血とかにことのほか弱い。 わたしだってヤだけど 男の人ってみんなそうなのだろうか? 歯医者の前で見張ってたら、何度も前を往復して いっこうに入らないから捕まえて入った。 と言うような話ってよく聞く。 粟粒のようなデキモノが目の縁にできた時、メス入れただけなのに 手術した〜〜、と大騒ぎしたくらいだから お腹切るなんて、卒倒ものなのだ。 少しは自分でも闘ってもらわないと困るので こういう時は、あんまり関わらない方がいいかなーと思って、 なるべく冷たくしている。 そのうち窓の方から、哀れっぽい 変な声で歌うのが聞こえてきた。 「ダレ〜カガ、トントン〜〜 キッチャッ〜ァタッテ〜 フーーーン、ンンンンーーー〜〜〜〜〜〜〜」 「オナ〜カヲーー♪トーッテモ、イタイダロウニネーーー・・・・」 「キッチャッ〜ァタッテ〜 フーーーン、 トーッテモ、イタイダロウニネーーー・・・・ ンンンンーーー〜〜〜〜〜〜〜」 「ダレ〜カガ、オナ〜カヲーー、ダレ〜カガ、オナ〜カヲーー、 キッチャッ〜ァタッテ〜、フーーーン♪ トーッテモ、イタイダロウニネーーー・・・・」 「ンンンンーーー♪カレ〜〜ライスゥ〜〜〜〜〜〜〜♪♪」 ・・・・とひつこい。 「ねえ、ねえ、この歌なんだっけ、遠藤賢治の歌だよね。 コワイ歌作るよねーー、切っちゃった切っちゃったってサー」 シリアスなのか呑気なのか、 さっぱり分からない人だダンナは・・・ あのね、こわいのはアナタの方でございますよーー 彼女が慣れない台所に立っていて、のんびりカレーができるのを待ってる 幸せでほのぼのとした歌を「日常に潜む恐怖・スプラッターソング」 にしてしまったのは、アナタですわ☆ もっとも、この歌の頃はそんな時代じゃなかったけど 今なら何があってもおかしくないから、よっぽどその方がコワイか・・・? お腹を切ったのは、三島由紀夫で そのニュースを寝ころんでTVで観ながら 若き遠藤賢治さんはカレーができるのを待ってたんですねー 「んんん〜、とっても痛いだろうにね〜」て歌いながら
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