きょう夕方、頼んであった本を取りに隣の隣の駅の本屋に行った。 帰りに切符を買って改札を入ったら、 財布に入れずに鷲づかみにしていたお釣りの50円玉を落とした。 殆ど音がしなかったから買い物袋の中にでも入ったかと、 あきらめて歩き始めたら前から来た女の人が 「ここよ!」と指さして教えてくれた。 振り向いてお礼を言おうとした瞬間、間髪入れずに、 すぐそばを男の人が、その小さな50円玉の落ちている床を 指さしながら足早に通って行った。 ところが、今度は、 その人と交差するように向こうから来た少し年輩の男の人までが その50円玉のある床を指して、改札を抜けて行った。 すべてが、ほんの10秒に満たない程の出来事だったけど、 それはまるで、その3人の人たちが、 この落ちた小さな50円玉の構成要素だとでも 謂わんばかりの瞬間に思えた。 きっと遠くから、ボケーっと硬貨を落としたのが見えていたのだろう。 チラッと無表情に、不機嫌そうでも上機嫌そうでもなく、 ただその瞬間を通り過ぎただけという感じに 落ちた50円玉を一瞬指さして通り過ぎて行った二人のおじさま。 人混みや雑踏は嫌われることが多いけど、 わたしはこういう事に出会えるのがなにより嬉しくて、 一概に嫌い切るなんてことが出来ないでいる。
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