カンラン 覧|←過|未→ |
空気に触れてる枕や布団,私の鼻先がちぃんと冷たくて 昨夜はなかなか寝つけなかった。 表を走る車やバイクの不在。 妙にしぃんとしたあたりの静けさが寒さを一層際立たせているような気がして, 耳をすましさえすれば予報通りに降りだした雪が地面におちる音がきこえそうな気がして, 冬眠するえびのように体をできるところまで折りたたんで 頭のてっぺんから足の先まで毛布にもぐり込んだ。 気付いたときにはもういつもの起床時間。 電気毛布の上からかけていた水玉毛布は足元でとぐろを巻いており, 私はと言うと,だらしなくばんざいしていた。 ばんざぁい。 さむっ。 ****************************** それにしてもほんとによく降る。 一日中吹雪っぱなしだ。 頭上高く上の方じゃ雪の製造が間に合わず,大変なことになってそうな感じ。 ついつい,昔学習帳の裏表紙に書いてあった海のはなしと頭の中で繋がってしまう。 なんでも望んだものが出てくると言う道具を手に入れたずるがしこい男が 誰にも見つからないように沖まで船を漕ぎ出して そこで試しに「塩」と望んでみる。 望み通りに塩が次から次へと出っ放し。 ただし止め方を知らなかった男は その塩の重みに耐え切れなくなった船ごと深ぁく深ぁくに沈んでしまい, いまだに塩は止まらず海を塩っからくし続けているんだとさ。 ・・・というおはなし。 それと同じぐらいの勢いを感じる今日の雪。 職場の大きな窓から眺めていると 下へとおちていく雪と上へ舞い上がる雪とが 不思議な模様を描いているよう。 小さな頃のように嬉しくて嬉しくてもうどうしようもないっていう気持ちは もう戻っては来ないかもしれないけれど, 帰ろうか帰るまいか。 帰れるか帰れまいか。 などと異様な盛り上がりを見せる職場の雰囲気はちょっとそれに似てるような気がする。 いつまで降り続くんだろう,この雪は・・・。
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