カンラン 覧|←過|未→ |
私が「ネイサン」と慕う人がいる。 最初の出会いはなんだったっけ? 確か一番最初に勤めた会社を退職して,2つめのアルバイト先で出会った。 印刷室で大きな印刷機を動かしているときに 突然背後から大きな大きな声で話し掛けられたんだった。 振り返ったら思いのほか小さくてころんとした「ネイサン」が立っていた。 そっから出不精の私を昼夜問わず引っ張りまわしてくれちゃって。 気付いたら焼き鳥食べながらの身の上話で泣けるような仲になっていた。 警戒心の強い私のこころを解きほぐすのにも 苦労なんて必要としないような人なつっこい人だ。 その「ネイサン」の誕生日が今年も近づいてきたので あれこれ迷いながらもプレゼントを買った。 去年は銀のネックレスを作ってあげたんだけど, 今年はそんな余裕もなかったため何軒もお店をまわって星のピアスを買った。 数ヶ月前に会ったときに,星が好きだって言ってたのを思い出したからだ。 少し長めの華奢な鎖に星がひとつだけついたシンプルなピアス。 それにしてはやけに大きな包みを鞄に忍ばせて待ち合わせのお茶屋へ向かう。 下から見上げるとすでに到着してメニュウを広げてる「ネイサン」が見えたので ぐるぐるの階段を駆け上がる。 私にしてはめずらしく駆け上がる。 椅子を引いて腰掛けようとした瞬間に大きな包みが目の前に。 あれ? 長らく会ってなかった「ネイサン」, 私への誕生日プレゼントずっとずっとあっためてくれてたようです。 「何ヶ月遅れだ,って感じやけど。」とにやにやしながら。 すごく嬉しかった。 ついついもらいものトークに花が咲いてしまいそうだったので, 私の方も忘れないうちに少し早目のプレゼントを渡す。 とても気に入ってもらえたようで,さっそく両方の耳に小さな星がぶら下がった。 来年の誕生日には「ネイサン」,ここにいるだろうか? それとも長年の夢が叶って,遠くに行っちゃってるんだろうか? どちらにしても,この人とはずっと繋がっていたいと思う。 ・・・私,言わずと知れた連絡不精だけどね。
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