カンラン 覧|←過|未→ |
いつもよりちょっとだけ遅い電車に乗って 待ち合わせは職場近くの地下書店。 それにしても数本電車を遅らせただけでものすごい世界が違って見えるもんだ。 うちの最寄りの電停, 学生がホームに入りきらずに線路へあふれだしてる。 うわぁぁぁぁ。 そういや近くに男子校と女子高があるんだっけ。 登校ラッシュ。 びっくりだ。 学生の隙間を縫うようにして乗り込んだ電車は意外にのんびりすいていた。 予定では地下書店で情報誌でも読み漁って 行き先を決めようということになってたけど, 結局そんなことはすっかり忘れて ずらりまだシャッターの閉まった通りを抜けて大きなパン屋さんへ。 人とこんなに早い時間に待ち合わせるのも初めてだけど, 一緒に朝食を食べることから始めるのも初めてだ。 不思議でいて,そのくせ自然な感じ。 あー,こういうのもありだな,って。 クロックマダムセットとフレンチトーストセットをたいらげてから 海に行くことにした。 港行きの電車を待っていると, 待ち構えたように雨がぽつぽつ降り出した。 夏の雨とは違って冷たい。 けれど結局そのまま電車を待つのをやめなかった。 海沿いの道を歩いていると雨脚が強くなってきた。 空を見上げると大きなまだら模様, えんえん降り続けるつもりはなさそうだ。 晴れた瞬間には浜辺で,水切りしたり,貝殻拾ったり,釣り人観察してみたり。 雨のひどいときには小高い丘の木かげで雨宿りをした。 小さな半島をぐるり一周する頃にはお腹もぺこぺこ。 とは言うものの周りにはご飯を食べれるような場所もないので, めちゃくちゃラフな格好でホテルのレストランにお邪魔することに。 普通じゃ絶対足を踏み入れるはずもない昼下がりの地上22階。 通された待合室のようなところでいささか落ち着きを無くしていると さっきまで歩いていた海岸線が真下に見えた。 東京タワー, 牛窓の山のてっぺん, 飛行機の窓, どこでもそうなんだけど, さっきまで自分がいた場所を上から見下ろすのって不思議な気持ちになる。 あたり全体を見て, 結構すごいな,っていう気持ちと ちっぽけだな,っていう気持ちが半分半分。 生きてるな,っていう気持ちと 嘘くさいな,っていう気持ちが半分半分。 興味があるのは・・・ 東京タワーなら東京タワー, この海辺のホテルならこの海辺のホテル, 自分の大きさをゆうに上回る大きな大きな建造物を実際につくった張本人は 上から見下ろす風景に何を感じるんだろう,ということ。 ちっぽけな私には想像もつかない。 ここからならぎゆっとつかみあげられそうな瀬戸内の島。 聞きなれた島の名前。 いつかフェリーに乗って行ってみたいな。
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